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軍国少年の半世紀、そして結局...
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 僕は産経新聞の阿比留さんのBLOGを割とよく読んでいます。
そしてまぁ好きなほうではあったんですが、でも最近そういう受け手としての気持ちが少々変わってきてるんだな。
 いつからかと言うと安倍総理の訪米直前くらいからなんだけど身贔屓というか、ヨイショが目立ちすぎるんだよね。
そうした一々のことはこれまで書いたんで重複を避けますけど、最新の首相訪米「苦い教訓」慰安婦問題、意図伝わらずがまた情けないほどにヨイショ、というよりもヨイショのやりようがない程間抜けで情けない訪米だったから、否定的な論調を押さえればこういう情けない内容になってしまうんだろうけど...

 けどですね阿比留さん、あんたこれまで河野談話を新聞記者では誰にも劣らない程度に扱き下ろしてきたでしょうが?
共同記者会見内容全文がホワイトハウスのサイトに公開される前から27日の英字紙には「apology」や「apologize」という単語が氾濫しまくったのは既に書いたけど、それは、つまりあなたのお気に召さない書かれ方するのは当然でしょうよ。
だって安倍総理は現実に謝ったし、日本国の総理として謝罪するとまで言っているんだから。つまり河野談話の河野洋平や宮沢喜一と同じことをやったわけですね。
しかしあなたは河野談話の河野洋平や時の総理宮沢喜一は扱き下ろすが安倍晋三は擁護する、これはいったいどういう政治的スタンスなら出来るんでしょうか?

 阿比留さんは記事中で、この点に関する安倍総理の日本語発言に関して

首相は、大統領との共同記者会見で、慰安婦問題についてこう語った。
「慰安婦の方々に、人間として、また首相として心から同情しているし、そういう状況に置かれていたことに対して申し訳ない思いだ」
 「20世紀は、人権があらゆる地域で侵害もされた時代でもあった。21世紀を人権侵害のない素晴らしい世紀としていきたい」
 それに先立つ米議会幹部との会談でも、ほぼ同じことを述べ、訪米前の日本テレビや米CNNテレビのインタビューでも同じ言い回しを使った。

と書いた上で、

 首相の意図は明らかだ。重要なのは、慰安婦の境遇については率直に同情を示すことだった。これまでの国会答弁などで「意に反して慰安婦とされた『広義の強制性』はあったが、官憲による慰安婦狩りなどを示す『狭義の強制性』はなかった」と指摘し、官憲による強制連行はないと説明しただけなのに、海外メディアから人権意識の欠如のように報道されたからだ。
 慰安婦に同情する理由に関しては、日本政府・官憲の関与には言及せず、当時は慰安婦が置かれていた「そういう状況」があったことを強調した。これは、戦時の人権侵害が、決して日本だけのものではないことを強く示唆し、相手に過去よりも未来に目を向けさせる狙いだった。これなら、狭義の強制性はなかったという一線を譲ったことにもならない。

と強弁しているんだけど、これがそこいらのネット弁慶の口喧嘩ならそりゃそれで良い、しかし舞台はウォーギルトインフォメーションを仕掛けたアメリカの大統領の庭内の出来事なのであり、中韓朝のみならずアメリか自身もヤルタ・ポツダム史観の固定化を望んでいる国であるということ、とりわけイラク撤兵問題でじり貧のブッシュとしてはこれ以上議会に対して深手を負いたくないという思いはあるのが当然ですよ、それが証拠に共同記者会見の大半がイラク撤兵に関する議会との軋轢と拒否権問題に割かれているじゃないですか。
これはアメリカは日本のように議院内閣制ではなく大統領制の国なんですから尚更ですよ。

 さて、以下にホワイトハウスのWEBに掲示されている「President Bush and Prime Minister Abe of Japan Participate in a Joint Press Availability」の中から売春婦問題に関する安倍発言の部分を引用します。

Well, in my meeting with the congressional representatives yesterday, I explained my thoughts, and that is I do have deep-hearted sympathies that my people had to serve as comfort women, were placed in extreme hardships, and had to suffer that sacrifice; and that I, as Prime Minister of Japan, expressed my apologizes, and also expressed my apologizes for the fact that they were placed in that sort of circumstance.

 ここには日本国総理大臣として謝罪の意を表し安倍晋三個人として謝罪するとしか訳せないことが書いてあるんですが、これは外務省の通訳が悪かったわけですか?
そして訪米直前に安倍総理は何回も「河野談話を踏襲する」ということを言ってしまっているんだからなおさらなんですが、ここで阿比留さんは「狭義の強制性はなかったという一線を譲ったことにもならない。」などと訳のわからないことを書いちゃってる。
こういう訳のわからない条理の通ってないこと書かれると阿比留さんの政治的立場や心情が見えなくなるんですが、阿比留さんは特別機に乗っかって訪米に同行した記者団のお一人だから総理番なんでしょう?
では安倍総理はそれすらも捨てるためにアメリカに出かけて行くべきだったとお考えなわけだろうか?
あるいは、今回安倍官邸は売春婦にまつわるこうした事態をどう収集する意図で渡米したとお考えなのだろうか?

 ここで敢えて書かずもがなの「あなた総理番記者でしょ」ということを書いたのは何故かというと、阿比留さんの話の中には4月3日の安倍総理とブッシュとの売春婦問題沈静化に関わる電話協議の話が一切出てこないからなんですが、何故ですか? 「オフレコ書くな」と言われているんでしょうか? あるいは知らされてもいないとか?

 同じく先に引用したホワイトハウスの記者会見録から引用しますが、

The 20th century was a century that human rights were violated in many parts of the world. So we have to make the 21st century a century -- a wonderful century in which no human rights are violated. And I, myself, and Japan wish to make significant contributions to that end. And so I explained these thoughts to the President.

 この二つを並べると解りやすいでしょ。
安倍総理は先んじて議会の代表に対して弁明(explained)するために総理大臣としてのapologizesと安倍個人としてのapologizesを示しなおし、そしてブッシュにも、議会に謝りましたってことを弁明(explained)し、そして21世紀をアメリカ以外の国が人権を侵さないよう世紀とするために大いなる貢献をしていきたいっとご理解をいただいた。
それが証拠に並列はどこにも用いられていないし、WeやourselfでなくIとweではないですか。

 これが4月3日に大統領府から総理官邸に出た指示なんですよ。
議会をなだめろ、謝れですね、そしてこれまでの国内向けの擬態としての強硬姿勢とこれの収拾も整合も出来なくなった結果がこの記事であり、巷にあふれる「保守論客」の訳のわからない安倍擁護と代位エクスキューズですよ。

 それを象徴するのが記事中の以下の部分です。

 しかし、周到に準備したこのフレーズは目的通りの効果は生まなかった。訪米前から同じ言い方を繰り返しているにもかかわらず、日本のメディアの多くは首相の意図に気付かないか無視し、「米国で謝罪」と強調した。一方、慰安婦の強制連行を既成事実と決めつけてきた海外メディアには、首相の微妙なニュアンスは伝わらなかった。
 首相から直接、こうした説明を受けたブッシュ大統領さえ、共同会見で「(元慰安婦への)首相の謝罪を私は受け入れる」とあっさり「謝罪」だと認定した。結果として「謝罪ばかり繰り返したとのイメージを内外に与えた」(同行筋)ことは否定できない。


 一番笑えるのが「ブッシュ大統領さえ」という部分なんですが、この筋書き書いたのがブッシュだと思いましょうよ。(爆
 そして27日以後の米国紙に共通するのが、安倍総理のこの発言に対する「意味不明で回りくどい言い回しで逃げた」という評価なのであり、ここは重要だと思いますよ。
つまり「意味不明」「回りくどい」と書かれるようでは伝えようにも伝わらないわけで、これは偏に通訳だけのせいでもありますまい?

 今回阿比留さんが最後の引用部分でやっているような八つ当たり、これで終わっちゃっちゃいつまで経っても、何代政権が交替しようが同じことが繰り返し果てしなく続くだけですよ。

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